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*

憲法というもの

 

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 「憲法」というものは一体何だろうという話です。

 「憲」という文字と「法」という文字は、実はどちらもほとんど同じ意味を持つ漢字です。どちらも「おきて」とか「きまり」を表すものです。

 英語では法のことを Law と言います。民法は Civil Law (直訳すると市民法)、刑法は Criminal Law (直訳すると犯罪法)ですが、では憲法は何というかご存知でしょうか。「憲」も「法」も同じ意味なら、英語に直訳してもしかたありませんね。
 正解は、Constitution です。Constitutional Law と、後ろに Law を付けることもありますが、Law がなくても憲法です。日本国憲法も英語では、The Constitution of Japan です。
 Constitution という言葉は、構造を意味します。ですから、Constitution of Japan は、「日本の仕組み」という意味になります。
 憲法という法律は、その国の仕組みを定めている法律であるというより、仕組みそのものなんですね。

 憲法は、それ自体が国の仕組みそのものですから、これに違反する法律を認めるわけにはいきません。日本国憲法も、憲法の最高法規性を定める条文(憲法98条)を置いていますが、憲法という性質から理解できます。
 また、憲法が国の仕組みなのですから、国の仕組みの一部である総理大臣をはじめとする内閣も、国会も、裁判所も、憲法に違反することはできません。そういう目で憲法の条文を見ると、何と、天皇さえも憲法尊重擁護義務を負っていると定められています(憲法99条)。

 では国民はどうでしょうか。国民だって国を構成する一部(大部分ですが)であることは疑いないでしょう。国民と憲法との関係はどうなっているのでしょうか。
 憲法が国民に課している義務は3つです。子女に普通教育を受けさせる義務(憲法26条2項)、勤労の義務(憲法27条1項)、納税の義務(憲法30条)。これだけです。もちろん、この3つの義務は決して甘いものではありません。しかし、国を愛する義務も、徴兵に対する応召義務も、憲法尊重擁護義務も定められていません。

 なぜなのでしょう。
 それは、憲法前文にヒントがあります。
 少し長くなりますが、一部を引用します。

日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、われらとわれらの子孫のために、諸国民との協和による成果と、わが国全土にわたつて自由のもたらす恵沢を確保し、政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであつて、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する。これは人類普遍の原理であり、この憲法は、かかる原理に基くものである。われらは、これに反する一切の憲法、法令及び詔勅を排除する。(憲法前文第1段)

 ここには、憲法が国民によって定められたことが明記されています。国民はこの国の仕組みを定める側にいて、天皇、内閣、国会、裁判所その他の公務員は、仕組みの中にいるのです。そのように見ると、憲法は実は国民に向けてではなく、仕組みの側に向けられたルールなのだということが分かってきます。
 もちろん、国民の教育水準を維持することや、互いの生活を維持するために働くことや、国の仕組みを動かすための税金を出し合うことは、国民相互の利益のための義務として定められましたが、教育を受けることや仕事をすることは権利としても定められています(憲法26条1項、27条1項)。

 憲法は、国民統治の道具ではなく、国の仕組みをしばる道具だったのです。
 なぜそんな特殊なものが必要だったのかは、また改めて。

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