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国会は最高!

 

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 日本国憲法41条には、国会について次のように定められています。

国会は、国権の最高機関であつて、国の唯一の立法機関である。

「最高」ということは、他の国家権力、総理大臣をはじめとする内閣や、最高裁判所を頂点とする裁判所より上位にある、と読むのが素直というものです。

 しかし、みなさんもご存知のとおり、我が国は三権分立、つまり、国会(立法権)と内閣(行政権)と裁判所(司法権)は、互いに抑制と均衡(チェック・アンド・バランス)を保ち、対等の関係にあるはずです。
 実際、政府が提案した予算案や法案をどうしても国会が認めない場合、内閣総理大臣によって衆議院の解散という手段が取られることがありますが、解散権は衆議院議員を全員一度に失職させるという強大な権限です。
 また、いくら国会で法律を作っても、裁判で憲法違反の法律と判断されれば、法律が無効になってしまいます。そうなると、国会は憲法に適合するように法律を改正したり廃止したりしなければなりません。
 このように、国会といえども万能というわけではありません。それなのに、憲法で国会を「国権の最高機関」と定めているのは一体どういうことなのでしょうか。

 憲法学では、この「国権の最高機関」という規定は政治的な美称だとされるのが一般的です。実際に最高権限を持っているということではなく、褒め言葉として「最高」ってことにしましょう、ということです。

 聞きようによっては、どこかバカにしているようにも思えますが、もちろんそんなことはありません。
 国会は、議会制民主主義によって、国民一人一人の意思を反映する国家機関として、特に重要な意味合いを持っていると言えるでしょう。もちろん、選挙制度のあり方によって、あるいは選挙のタイミングによって、その時々の民意を正確に(あるいは適切に)反映しているかについては、いろいろ問題もあるかもしれませんが、まがりなりにも選挙で選ばれた議員によって構成されている国会ですから、「最高機関」の称号が与えられておかしなところはありません。
 憲法前文に、

「そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであつて、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使」する

とされているのも、何より国会を念頭に置いてのことでしょう。

 ところが、どうも最近、この最高機関であるはずの国会が、ないがしろにされているようでいけません。
 総理大臣も、官房長官も、法務大臣も、国民の理解を得られるように丁寧に説明する、と言いながら、国会での審議ではそれをせず、特定の新聞社のインタビュー記事や、台本があるかのような記者会見で一方的に自説を述べるのみ。
 疑問に答えてこそ説明というものです。国会審議こそ、国民に対する説明の最たるものなんですがね。
「敵のいる試合は苦手なので、紅白戦で実力を見せます」とか言ってるスポーツ選手みたいなものですから、国会もなめられたものです。

 ここは最高機関の面目躍如に期待したいところです。ただの政治的美称じゃないぞってところを見せてください。

 - 第4章 国会 , ,

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