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近くて遠い最高裁判所

 

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 皇居の南に有名な桜田門があります。幕末に大老井伊直弼が水戸藩士らに殺害された「桜田門外の変」で知られていますが、「桜田門」と言うと、その交差点に面して建つ警視庁の代名詞でもあります。
 この桜田門から皇居に沿って左回りに進むと、正面に国会議事堂を見ながら、道はやがて右にカーブしながら坂道を上ります。

 この坂道は「三宅坂」と呼ばれていますが、坂の中腹左手に見えてくる、コンクリート打ちっ放しの不思議な建物、どこかの現代美術館と見紛うような建物こそ、我が国の司法のトップ、最高裁判所です。

 先ほどの桜田門は霞が関官庁街の北端でもありますが、東京地方裁判所や東京高等裁判所は、桜田門にもほど近い霞が関の一画を占めています。この東京地裁・東京高裁は、裁判の公開の原則(憲法82条)のため、自由に法廷で傍聴できます。そのため、裁判所の庁舎内に入ることも簡単です(ただしセキュリティのため金属探知機が設置されています)。

第82条 裁判の対審及び判決は、公開法廷でこれを行ふ。
2 裁判所が、裁判官の全員一致で、公の秩序又は善良の風俗を害する虞があると決した場合には、対審は、公開しないでこれを行ふことができる。但し、政治犯罪、出版に関する犯罪又はこの憲法第三章で保障する国民の権利が問題となつてゐる事件の対審は、常にこれを公開しなければならない。

 これに対して、最高裁判所はちょっと事情が違います。
 最高裁では、審理が開かれること自体限られているので、いつでも誰でも入れますということになっていません。もちろん、審理や判決を傍聴することはできますが、ふらりと行っても入れないということがあるのです。
 以前の最高裁は、法廷での弁論を経ない判決の場合、裁判の当事者にさえ判決期日を伝えないという、信じられないようなやり方をしていましたが、今では指定の通知がありますし、開廷期日情報が最高裁のウェブサイトでも公開されています

 私たち弁護士にとっても、最高裁判所というところは滅多にかかわらない裁判所で、行こうと思えばすぐ行ける場所ではあるものの、心理的距離感は遠いのが実情です。
 何せ、最高裁が得意なのは「三下り半判決」と「門前払い判決」なのですから。

 しかし、そうは言っても最高裁判所。「憲法の番人」でもあるのですから、頑張ってもらわなければ行けません。

第81条 最高裁判所は、一切の法律、命令、規則又は処分が憲法に適合するかしないかを決定する権限を有する終審裁判所である。

 そして、すべての裁判官の中で、最高裁判所の裁判官だけは、「国民審査」にかけられることになっています。

第79条 最高裁判所は、その長たる裁判官及び法律の定める員数のその他の裁判官でこれを構成し、その長たる裁判官以外の裁判官は、内閣でこれを任命する。
2 最高裁判所の裁判官の任命は、その任命後初めて行はれる衆議院議員総選挙の際国民の審査に付し、その後十年を経過した後初めて行はれる衆議院議員総選挙の際更に審査に付し、その後も同様とする。
3 前項の場合において、投票者の多数が裁判官の罷免を可とするときは、その裁判官は、罷免される。
(以下省略)

 最高裁判所の裁判官の定年は70歳(裁判所法50条)。
 ほとんどの最高裁判所の裁判官は60歳以上になってから就任しているので、10年に1度の国民審査は、事実上1回きりの国民審査です。

 次の日曜日に行われる第48回衆議院議員総選挙では、同日に最高裁判所裁判官7名についての国民審査が行われます。
 憲法の番人である最高裁判所のほぼ半数(15名中7名)の審査です。
 やめさせたいと思う裁判官に×を付ける、という、選挙とは反対の投票でややこしいところがありますが、最高裁の裁判官に対する一番近い意思表示ですので、どうぞ関心をもって臨んでください。

 なお、日本民主法律家協会が作成している資料がありますので、ご参考まで。

 

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